2010年09月27日

CEDEC 2010を振り返って 〜第3日目〜

【9/2】三日目


・Defying Gravity: The Art of Tangible Bits
 重力に抗して:タンジブルビット
 石井 裕 (マサチューセッツ工科大学

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/KN/C10_I0007.html

・MIT教授 石井裕氏による基調講演「重力に抗して:タンジブルビット」
2200年の未来に何を遺すか? すべてのクリエイターに向けたメッセージ
・石井 裕教授が,基調講演「Defying Gravity: The Art of Tangible Bits 重力に抗して:タンジブル・ビット」で披露したMITメデ...

Tangible Media for Design and Inspiration


タンジブルビットとは、人間とコンピューターの距離を近づけるための考え方と技術です。
例えば、瓶を開ければ中に入っている内容物の香りを感じることができるのと同じように、瓶を開けることで音楽が再生されるデバイスを作ることで、誰でも直感的に分かるインターフェイスのコンテンツを作成可能となります。

このタンジブルビットを考え出したMIT教授 石井裕氏の講演は大変素晴らしく、CEDECに参加して本当に良かったと思いました。
まず、一点目に「プレゼンが圧倒的にうまい」ことに感動しました。次に、タンジブルビットが、今後のゲームの在り方を変えるヒントとなりうる内容であったことです。
現在のゲームデザインのインターフェイスの主流は「スイッチ」が基本となっています。コントローラーはスイッチの集合体です。アナログスティックで進化はしましたが、ボリュームつまみなどと同じようにスイッチの延長線上にあるものには違いありません。
スイッチは、あくまで処理をオン、オフするための記号化されたものです。ゲームと相性が良いインターフェイスは、車のハンドルコントローラや、飛行機のフライトスティックなどです。車や飛行機は、元々、動作や処理を記号化した機械ですので、そのコントローラがゲームと相性が良いのは当然と言えるでしょう。

しかし、私たちが手に触れる瓶やハサミなど、実際の道具とコントローラには、操作性に距離があります。ゲームのRPGなどで瓶が出た場合、コントローラのボタンを押して開けるというインターフェイスが一般的になるわけですが、そこには「現実感との距離」があります。

タンジブルビットの考え方は、ゲームをこれまでのスイッチが主体のコントローラからプレイヤーを解放する可能性があります。Wiiリモコンなどのモーションコントローラの出現は、その兆しかもしれません。

確実に一歩先を見据えた石井裕氏のタンジブルビットは、自分にとっても大きなアイデアの種を頂いたと思いました。

下記のページからタンジブルビットの様々な資料を見ることが出来ます。

tangible media group
http://tangible.media.mit.edu/




・ゲームデザイナーのための2Dフィジックス(2)
 小倉 豪放 (株式会社フィジオス)

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/GD/C10_PR0024.html

PHYZIOS Studio : Create Levels


PHYZIOS Studioは、物理シミュレーターオーサリングツールです。
http://phyzios-studio.net/

と、言ってもプロ用のお堅いツールではなく、誰でも簡単に物理シミュレートを使ったコンテンツが作れる楽しいツールです。
UGCとして展開しており、ユーザーから多くの作品が投稿されています。「剛体」だけでなく「流体」の物理シミュレートも扱える特徴を持っています。簡単なゲームを作ることも可能で、ゲームデザイナーが物理シミュレートに特化したゲームを作るときのテストベッドとしても使えそうでした。







・CEDEC CHALLENGE: 超速碁九路盤囲碁AI対決決勝
 万波 佳奈 (財団法人日本棋院) ほか1名

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/PG/C10_I0012.html

・「CEDEC CHALLENGE」の結果は果たしてどうだったか?
「超速碁九路盤AI対決」決勝トーナメントと「三日でゲームを作ってみる」報告会をレポート
・コンピュータ囲碁から学ぶAIの“賢さ”とは。「CEDEC CHALLENGE:超速碁九路盤囲碁AI対決決勝」レポート
・最強の囲碁AI求む・・・「超速碁九路盤囲碁AI対決」

CEDEC CHALLENGEの決勝戦です。
九路盤で思考時間は1分以内ということで、見ていてもサクサク進み、気持ち良く勝敗が決まっていました。
しかし、プロの万波さんは強い! 優勝したプログラムと対戦し、アッという間に大差をつけて勝利を収めました。これまでのCEDECにはないイベントでしたが面白かったです。







・ゲーム業界における特許の必要性とその効果 経営、企画、開発の3者の視点からのアプローチ
 恩田 明生 (株式会社バンダイナムコゲームス)

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/BM/C10_P0241.html

・ゲーム業界における特許とは?・・・バンダイナムコ特許部 恩田氏に聞く...

バンダイナムコ特許部の担当者が、開発者に向けて特許についてその在り方から問題点まで赤裸々に語るという、面白くてタメになる講演でした。
実は、この講演を受講するまで、「企画には特許権はない」と思っていました。事実、TV番組や書籍、ゲームの企画などは、そのまま「特許申請」することはできません。多くは著作権や商標権で争っていました。
しかし、この講演では、ゲームデザインにおける「仕組み」と「新規性」が「特許」として申請できることを解説。これにより、結果としてゲームの企画(デザイン)を「特許」で守ることができるというものでした。逆に、もっとも特許に相応しいと思っていたプログラム特許などについては、特許侵害の立証が難しいため、申請を出すかどうかの判断が難しいとのこと。これは意外でした。
ゲームデザイナーとして、実務レベルで非常に考えさせられる講演でした。







・激論! 外国人が、あえて日本で働くという事 〜世界ヒットを狙うための提案〜 (Making International Hits in Japan - The Foreign Developer's Perspective)
 Fred T.Y. Hui (株式会社スクウェア・エニックス) ほか1名

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/MX/C10_P0313.html

・外国人が語る欧州言語向けローカライズの実情
・内と外の視点から日本を語る 現役の海外国籍スタッフによ...

CEDEC最後の講演として受講したのが、この講演でした。
以前から、海外の方といっしょにする機会に恵まれていたので、本音を聞いてみたいなとw さすが、海外の方のラウンドテーブルは熱く、「発言しなければ負け」と言わんばかりに、次々に発言が飛び交ってました。司会の方の仕切り方も上手。
「給料が安い」「みんな定時に帰らない」など現場レベルの話から、「日本の専門学校はレベルが低い」などの業界全体の話まで、本当に赤裸々に語っていました。
ただ、ラウンドテーブルに参加して思ったのは、本当に海外の皆さん日本と日本のゲームが好きで、日本にやってきて仕事をされているのだということを実感しました。そこには愛があると確信しています。







・TwiCEDEC
http://tweetvite.com/event/twicedec

CEDEC最後の飲み会に参加しました。
TwiCEDECは、今年からスタートしたTwitterで募集したゲーム業界人の飲み会です。
もの凄い熱気に溢れていました。
あと、自分の生放送を見てくれた学生さんが多かったのにも、びっくり。
あまり上手にアドバイスできなかったけど、本当にありがとうございました。







【まとめ】
最後に、CEDEC2010のまとめです。
今年は、セッションが推薦から公募に変わり、しかもその競争率は三倍というこれまでにない状況でCEDECがスタートしました。蓋を開けてみれば、さすが競争を勝ち残った公募だけあって、実例をともなった素晴らしいセッションが多かったと言えます。
ポスターセッションも想像以上に、みなさん気合いを入れて参加されていました。

一方で、個人的に気になったのは「未来を見据えた講演」というのが若干少なかったように思えます。そういう意味で最終日のタンジブルビットは最高に未来を見据えた話だったのですが、現場レベルから、5年・10年後を見据えた技術とゲームデザインの話がもっとあればよかったなと思います。

しかし、確実にクオリティがアップしていることは間違いなく、来年のCEDECも今から期待をしています。






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posted by 企画屋一号 at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強会(MTG)
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