2010年09月23日

CEDEC 2010を振り返って 〜第2日目〜

【9/1】二日目


・ゲームの知能と小説の感覚 ヒトの宇宙の究極(?)問題を考える
 基調講演 瀬名 秀明 (作家)

http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/KN/C10_I0006.html

・瀬名秀明氏基調講演「ゲームの知能と小説の感覚 ヒトの宇宙の究極(?) 問題を考える」
・人気作家・瀬名秀明氏が明かす、ゲームのポイントは ...

「パラサイト・イヴ」の著者であり、薬学博士でもある瀬名秀明氏の基調講演です。
「重力」をテーマに、AIのチューリングテストから、瀬名氏は自らのパイロット体験、そしてミラーニューロンまでと、様々な視点から「人と重力」の関わり合いについて語られました。

特にフライトシミュレーターが好きな自分としては、瀬名氏のパイロット体験の話が興味深い内容でした。
人間の生活のほとんどは地上で生活しているため、二次元平面上で考えることがほとんどです。
これは、「地面」と「重力」があるおかげです。しかし、飛行機で空を飛ぶと、この「二次元の常識」が通用しません。それは、飛行機の操縦が完全な三次元空間での活動となるためです。
パイロットがもっとも恐れることに、「ファルスホライズン」と呼ばれるものがあります。
これは、飛行機の操縦時に「水平線」を見失い、どの方向に地面があるのか分からなくなる現象です。主に、快晴時の海など目印となるものが少ない環境で「ファルスホライズン」になりやすいと言われており、熟練したパイロットでも地平線を見失い事故を起こすことがあります。

私たちは常に「重力」を感じていることを考えると、一見ありえそうにもないことですが、実際には、飛行機の「移動時のG」や「思い込み」によって「ファルスホライズン」に陥ってしまうのです。また、一度、「ファルスホライズン」になると、自分で思った「水平」を維持しようと働き、計器が水平を示していなくても、計器の故障だと思ってしまうこともあるようです。

このように、「重力」は「地面に対してひっぱる力」だけでは認識できない「力」であることを瀬名氏はパイロット経験を通じて伝えようとしてくれていたのではないかと思います。







・インタラクティブな物語: 素晴らしき新ゲームジャンルに向けた、ゲームプレイのプロシージャル生成 (Interactive Narrative: from procedural generation of gameplay to brave new game genres)
 Marc Cavazza (Teesside University)

 http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/OS/C10_I0053.html

Teesside UniversityのMarc Cavazzaが研究しているプロシージャル技術です。
「インタラクティブな物語」というタイトルから、ストーリーの自動生成技術であるように思われますが、実際には「プレイヤーのゲームプレイ(体験)自体をプロシージャルに生成する技術」のお話でした。この講演の内容は、非常に興味深く、また別の機会に特集記事にて取り上げたいと思います。
今回は、概要だけご紹介します。

現在、海外のゲームではプロシージャルによるゲーム空間の自動生成が一般的な技術として扱われるようになりました。しかし、「物語の生成」 については、まだ実用レベルには達しておらず、多くの課題が山積みとなっています。

そこで、今回提案されているのが「HSP発見型探索プランニングを用いた物語生成」です。
物語におけるスタート地点とゴール地点、そしてプレイヤーに係わる人物がどのような感情を抱き、ストーリー上どんな役割をもっているかという情報を元に、プレイヤーの行動に合わせてこれらの条件を満たす物語を自動生成します。物語の自動生成には、事前にゲームデザイナーが用意した物語の最小単位のアセットが用意されており、ゴールに向けて最適なアセットを選択するように「HSP発見型探索プランニング」を用います。

また、この研究では、"CuveUT"と呼ばれる小さな部屋を全面プロジェクターで画面を投影するVRシステムの開発へと繋がっており、そこでは、これまで説明した「物語の自動生成」を使ったミニゲームをプレイすることができます。

ここで重要なのは、一般的なJRPGの「誰かの体験を追従する」ゲームとは違い、海外ゲームならではの「プレイヤー自身がゲーム世界というリアリティある世界に入り新しい体験を得る」ということを実現するために、この「物語の自動生成」が用いられているということです。
今後、どのように実用化されるのか楽しみな技術でした。







・エフェクトへのこだわりとつくりかた 〜パネルディスカッション〜
 下田 星児 (株式会社サイバーコネクトツー) ほか2名

 http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/VA/C10_P0159.html

サイバーコネクトツーの下田 星児氏、セガの岩出 敬氏、そして、スクウェア・エニックスの吉田 光陽氏と、ビッグタイトルの開発に携わっているエフェクト開発者の豪華なパネルディスカッションです。

最初に、各社の事例紹介。
サイバーコネクトツーの下田氏は、「ナルティメットストーム」のエフェクト開発の事例を紹介。
版権ものタイトルである「ナルト」では、アニメ調のイメージをベースに、内製オリジナルエフェクトツールを使ってエフェクトを作成したとのこと。ただ、ナルトに特化したツールであったため、今後は他のタイトルでも使える汎用的なエフェクトツールの製作に取り組むとのことでした。

セガの岩出氏は、一年に一回という驚異的なスピードで製作される「竜が如く」の事例を紹介。
最初のミーティングおよびコンテ段階で、実現可能なコストと内容に見合うように仕様を精査。その上で、内製オリジナルエフェクトツールを使ってエフェクトを製作に取りかかるとのこと。タイトなスケジュールでの製作のため、戦術的によく練られた開発手法が用いられていました。

そして、スクウェア・エニックスの吉田氏は、「FINAL FANTASY XIII」の事例を紹介。
スクウェア・エニックスでは、エフェクト専門のチームがあり、他の開発現場よりも規模も大きい。他のパネラー同様、内製オリジナルエフェクトツールを使ってエフェクトを作成したとのこと。国内最大級とも思われるゲーム開発は、エフェクト製作においてもスケール感を感じさせる内容でした。







・ゲームエフェクトの今とこれから 〜FXアーティストラウンドテーブル〜
 岩出 敬 (株式会社セガ) ほか3名

 http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/VA/C10_P0065.html

前のセッションに引き続き、今後はエフェクトのラウンドテーブルに参加しました。
大盛況のため、ラウンドテーブルの会議室は立ち見が出るほどでした。パネルディスカッションよりもさらに突っ込んだエフェクト製作の話され、パネラー以外にも、有名タイトルのエフェクト開発者が積極的に事例を紹介する内容の濃いラウンドテーブルとなりました。
話の中心は、作業コストであったり、内製エフェクトツールであったりと、現場レベルの課題点が浮き彫りとなり、ラウンドテーブルに参加された皆さんは、それら課題点の共有が出来たのではないでしょうか。







・続・ゲームAIを横浜で語る
 長久 勝 (国立情報学研究所) ほか2名

 http://cedec.cesa.or.jp/2010/program/PG/C10_P0150.html

CEDECのAI関連のセッションをまとめながら、AIについて語るラウンドテーブルです。
司会は長久さん、パネラーは三宅さん、そして、自分も参加させていただきました。
今年のAIセッションは、実際のゲーム開発の事例が多数紹介されており、講師の三宅さんも高く評価。チャレンジCEDECでは、囲碁大会が行われるなど全体的に見てCEDECの質の向上が伺えます。一方で、今後、AI技術の共有と、日本のAI技術開発をどうしていくのかという課題も。
AIセッションを振り返りながら、いろいろ考えさせられるラウンドテーブルでした。







・CEDEC AWARDS
 http://cedec.cesa.or.jp/2010/event/awards/


・CEDEC AWARDS 2010発表、『デモンズソウル』がゲーム ...
・CEDEC AWARDS 2010表彰式 特別賞はナムコ創業者の中村雅哉氏
「セカイカメラ」から「CoD2MW」までバラエティに富んだ受賞作を紹介
・多くの開発者を育てたベーマガに拍手!CEDEC AWARDS発表授...
・「CEDEC AWARDS 2010」特別賞に中村雅哉氏、著述賞にBDと川...
・「マイコンBASICマガジン」にCEDEC AWARDS 「DS-10」も受賞


CEDEC二日目の最後は、ゲーム業界に貢献した人達を称えるCEDEC AWARDS授賞式です。
特別賞は、株式会社バンダイナムコホールディングス最高顧問の中村雅哉氏。日本ゲーム業界を支え続けてきたナムコの中村氏は、歴史的人物と言えるでしょう。
 
また、我らがフロムソフトウェア−の三宅さんも、プログラミング・環境開発部門にてノミネート。そして、ポスター部門プレゼンテーション賞では、漫画「DGCに行こう〜ゲームプランナー間違いだらけの英会話〜」 下田賢佑氏(株式会社degG)/細川幸恵氏(漫画家)が受賞されました。
おめでとうございます。







・Developers Night
http://cedec.cesa.or.jp/2010/event/developers_night/

・横浜は夜も大盛り上がり〜Developers Night

CEDEC AWARDSの後は、ゲーム会社の人達が集まってのパーティ「Developers Night」に参加しました。
今年は、チケットが初日の昼までに売り切れる自体が発生するほどDevelopers Nightは大人気でした。パーティでは、様々なゲーム会社の方々と交流。あっという間に頂いた名刺は2cmくらいに。最後は、サイバーコネクト2松山社長の熱い一本締めで終了。
日本のゲーム業界の先行きはまだまだ見えませんが、パーティ参加者の熱意がゲーム業界の未来を予感させてくれました。







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posted by 企画屋一号 at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 勉強会(MTG)
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