2010年08月15日

【書籍紹介】「映像の原則」―ビギナーからプロまでのコンテ主義 富野由悠季(著)

「機動戦士ガンダム」を生み出した富野 由悠季監督の書籍です。
映画、アニメ制作者向けて、題名通り「映像の原則」について学習できる教科書です。また、映像制作とは何か? 演出とは何か? 映画的なるものとは何か?」について、「富野節」で読者に容赦なく問いかけてきます。

表紙から「本書を何度読んでもわからないという方は、やはり映像業界に就くことはお勧めできません」と書いてあるように、「読者を選ぶ」書籍です。また、「良薬は口に苦し」と言わんばかりに非常に「苦く」、ときには「毒をもって毒を制す」と言わんばかりに、映像の原則について述べながらも読者に叱咤激励を畳みかけてきます。
 
しかし、この書籍には「コンテ1000本切りの富野」の異名を取ったと言われる富野監督ならではの「映像に関する原則」がギッシリ詰まっており飾らぬ言葉で説明されています。
その中には、ゲームの映像だけでなく、ゲームデザインの参考にもなる要素も含まれています。

なぜ、アクションゲームのHPゲージは、左側の方にレイアウトされている方が落ち着くのか?
なぜ、横スクロールのシューティングゲームは、右側に進むのか?

これらの疑問について、この「映像の原則」を読み解くことで、一つの答えに辿り着くことと思います。




単行本: 329ページ
出版社: キネマ旬報社 (2002/02)
ISBN-10: 4873765803
ISBN-13: 978-4873765808
発売日: 2002/02


「目次詳細」は「続きから」をクリック!

映像の原則
―ビギナーからプロまでのコンテ主義
富野由悠季(著)

目次

総論
 ・言葉の定義
 ・映像には原則がある
 ・完成で映像は撮れない
 ・コンテを読む
 ・コンテンツの仕事
 ・映像の癖

第1章 映像の根本
 ・映像の連続性
 ・空間の同一性
 ・映像は変化を求める
 ・変化の創出(テンポとリズム)
 ・テンポとリズムが生むダイナミズム
 ・実写監督志望者の問題
 ・映像の欠点
 ・視覚と聴覚

第2章 物語が時間を乗り越える
 ・時間を乗り越えるもの
 ・物語るには時間がいる
 ・物語とは
 ・おもしろさとは
 ・シナリオの書き方

第3章 映像の特性
 ・映像とは連続して動く画
 ・映像は時間計画をふくむ
 ・映像のつながりを発生させる
 ・つながりのない映像をつなぐ音
 ・カットの積み重ねが映像になる
 ・映像ダイナミズムを構成する要素
 ・動かないカットでも長さがある
 ・トメ絵を映像的にするための技法
 ・フレーミングのダイナミズム
 ・空間も映像のダイナミズムを生む
 ・左右の上下
 ・心臓の位置

第4章 2000年までの現実問題
 ・現場にいるスタッフ
 ・現場の中の自分
 ・カット記号
 ・演技を創作するという観念がない
 ・演技とは身体が動くこと
 ・現実的対応の仕方
 ・映像作品のアタック
 ・テレビのまやかしと正義
 ・観客はするどい
 ・自己修養

第5章 映像の原則
 ・コンテを切る原則
 ・方向性の意味の違い
 ・視線(目線)の向き=方向性を示す
 ・方向性を統一する意味
 ・サイズ(画角)
 ・画面サイズは変化する
 ・位置(フレーミング)の意味
 ・フレーミングが感情を表現する
 ・アングルと方向性
 ・遠近の問題
 ・俯瞰はつかうな!
 ・照明(ライテング)
 ・色彩(カラーリング)のなかの補色の問題
 ・動きの発生による問題
 ・動きの複合の舞台から視覚的意味性を見つめる。
 ・能舞台に見る視覚原則
 ・イマジナリティ・ライン
 ・目線合わせ
 ・越えられない国境線は移動する
 ・ふたつ同時に発生するイマジナリティ・ライン
 ・イマジナリティ・ラインを乗り越える方法
 ・速度感の統一
 ・イマジナリティ・ラインの実際(図)
 ・喜怒哀楽を描く速度感
 ・映像は変化を求める。
 ・カットが変わることも動き
 ・アクション・カットは戦闘のことではありません
 ・編集で見つけるテンポ、リズム
 ・劇的要素から方向性を決定する
 ・時間をコントロールすr
 ・作品の速度感
 ・カットの頭は待つな
 ・フレーム・イン、アウトの間
 ・黒ベタは動きを殺す
 ・主観のカメラ・客観のカメラ
 ・回想と夢
 ・レンズの雫
 ・臨場感を出すのはアニメの方が難しい
 ・パーソナルなフィルム、広いフィルム
 ・映像的なダイナミズムの面倒さ

第6章 コンテ主義
 ・1925年のモンタージュ論
 ・フォトジェニーとリズム論
 ・映像学の消失
 ・ハイリスクな実写の世界
 ・コンテは映像制作の設計図
 ・黒澤明の演出窯変説
 ・画面の張力
 ・コンテはマンガの出来損ないではない
 ・コンテでリアル時間を読む
 ・コンテの実際
 ・デスクワークの癖を画面に出すな
 ・コンテの例の台詞の考え方
 ・コンテでシナリオを改訂する難しさ
 ・シナリオ
 ・コンテ作業
 ・過去の歴史と現実
 ・実写では
 ・コンテマンのシナリオの読み方
 ・シナリオ構造論
 ・キャラクターと物語をふくらます
 ・シナリオ・ライター志望者におこる不思議
 ・演出家としてシナリオに気をつけること
 ・前後をつなげるという感覚で修正する

第7章 ビギナーの実務
 ・カットはひとつの画面
 ・演出するということ
 ・演技はポーズやマンガ・パターンではない
 ・決めポーズ
 ・マンガとの違い
 ・板つきではじめない
 ・会話シーンは睨めっこではない
 ・俯瞰の目の高さ
 ・画にのる台詞、滑る台詞
 ・解説図は設計図であり製図である
 ・ミニチュアやCGを本物にする
 ・カット割りのこと
 ・リチャード・クーの方法
 ・見せ場を見せるための必要な余分
 ・制約があるからこそ作品は仕上がる

第8章 コンテの究極的処理学
 ・プロットとカットの張力の関係
 ・コンテの絵は一生懸命に描いてはいけない
 ・コンテにカットとページのナンバーは書かない
 ・作業を示す記号は書き忘れるな
 ・オーバーラップ(OL)の秒数の考え方
 ・第一稿のコンテは全体的に長く書く
 ・コンテに効果音の指定はしない
 ・どういう場所(シーン)かわからせる
 ・コンテは流して見てストーリーの節目を見る
 ・コンテの整理学
 ・直さないコンテは秀でることはない
 ・他人のコンテはやたらに直してはいけない
 ・ト書きの説明すぎ
 ・シーンの設定にそった広さと狭さを描く
 ・コンテのマス目を大きく描くな
 ・自分の都合の位置関係にしない
 ・マシーンと人間の関係を描くことを面倒がるな
 ・セックスの表現と同じに考えるな
 ・宇宙でのタチポーズのモビルスーツ
 ・宇宙や空の背景シーンは短くする
 ・画によって秒数は違ってくる
 ・なぜ映像が流れる構成をしないのか?
 ・背景だってうかつに描かせない
 ・無重力帯の演出
 ・総統、統合もしくはトータル
 ・人気がある作品といい作品


第9章 作画の究極的処理学
 ・サイズをアップ気味にしない
 ・レイアウトだけでは何も見えない
 ・カメラを置く意識を持つ
 ・秒数(カットの長さ)に対してセンスを磨く
 ・普通の感情を表現する
 ・キャラクターと違うとアップ・サイズも違う
 ・カットの外に対象がいる
 ・カットのフレームの外に身体がある
 ・パース線を入れない
 ・カット頭で芝居を待つな
 ・それでもカット頭は止まってしまう
 ・アニメでカット頭の静止感を外す方法
 ・静止している(フィックス)カットを見せる方法
 ・映像的には動いていても静止しているものを見せる
 ・早いだけが能ではない
 ・画面上のスピード感
 ・アニメのフォローは無条件に早すぎる
 ・つけPAN、角合わせはfollowにする
 ・被写体の移動
 ・角合わせの実態
 ・フリッカー
 ・窓枠とキャラクターの対比
 ・カーブを曲がる
 ・アウト・アクション
 ・3コマ打ちの並を続けると止まる
 ・爆発だっていろいろある
 ・宇宙はスタジオライトにしない
 ・決めポーズからスタートするミス
 ・動きが速いと背景も早くする
 ・錯覚は利用しろ
 ・背景の立場
 ・カメラマン宮川一夫の世界
 ・枚数減らしの手法

第10章 究極の演出心得
 ・映像を語ることは不思議ではない
 ・日本がマンガ大国になった理由
 ・映像制作を邪魔するものは映像制作そのもの
 ・別の基準を持ち込まない
 ・表面ヅラをマネする(アレンジの要諦)
 ・映像はコミック・マンガではない
 ・カットの動きをコントロールする
 ・物理的につなぐ・映像的につなぐ
 ・なんとなくすっぽ抜けているカットの意味
 ・一枚の絵を見ているだけではリテイクできない
 ・画が良くなると見えなくなる
 ・絶無といえる演劇的センス
 ・視覚感度の鋭敏化がもたらす保守指向
 ・芝居の鬘をリアルにする間違い
 ・ラフ・スケッチで感情表現を見つける
 ・演技のデッサン
 ・心理描写を考える
 ・光のフォトジェニック
 ・"闇"が演技、演技の要諦は"間"
 ・台詞配分

第11章 画以外のこと=音声
 ・ふつうに演技をつける
 ・演技論
 ・声優としての演技の基本
 ・B.G.M
 ・音の原則
 ・芯の音とまわりの音
 ・ジャンル(カテゴリー)分け
 ・人をぶつ音・シーンの音
 ・シンセ・デジタルのまやかし
 ・オーバースペックに仕立てる
 ・劇の語り口によりそう
 ・台詞の録音
 ・演出家たるもの耳を持て
 ・アフレコ台本の書き方
 ・録音現場でのスタッフの態度
 ・好きにやってなにができる
 ・日常感覚の喪失と責任範囲の理解
 ・ちょっとおかしいという感覚の警告
 ・原則ということについて

第12章 エンタテイメントとは何か?
 ・『花伝書』より引用
 ・アニメ、CGに独自性はあるのか?
 ・映画的なるもの

あとがき



ちなみに、下記の生放送でもちょっとだけ、この書籍の内容について解説しています。

【解説付き】『第5回ゲーム企画・仕様作成ダダ漏れまとめ放送』 第二部 エフェクト




posted by 企画屋一号 at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介
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