2010年01月03日

ゲームエンジン・リスト 国内編

国内ゲームエンジンに関して調査を続けていましたが、正式にエンジン名を大々的に公開している会社は、残念ながらカプコンのMT Framework以外はほとんどないことが分かりました。
そこで、今回は、主に私のゲームエンジンに関する経験談をご紹介したいと思います。

なお、今後、国内ゲームのゲームエンジンが発表されることがあれば、このページにもゲームエンジンリストとして追加していく予定です。

補足:
・10/03/08 ヘッジホッグエンジンを追加しました。
・10/01/03 NUライブラリ・NUCCシステムを追加しました。



MT Framework
(カプコン)
http://www.capcom.co.jp/
WIKI JP US

Lost Planet 2 Gameplay Trailer HD 720p


カプコンが開発したマルチプラットフォーム対応のゲームエンジンです。
「ロストプラネット」「バイオハザード5」など、カプコンの主力タイトルを支えている重要なエンジンです。
また、子会社へのMT Framework提供が発表され、今後さらに活用されるゲームエンジンとして期待されます。

西川善司の3Dゲームファンのための「ロストプラネット」グラフィックス講座
Xbox 360グラフィックスここに極まる!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070131/3dlp.htm





Crystal Tools
(スクウェア・エニックス)
http://www.square-enix.com/jp/
WIKI JP US

FINAL FANTASY XIII E3 2009 Trailer


当初「ホワイトエンジンjという名称で国産ゲームエンジンとして注目されていましたが、後に「Crystal Tools」と正式名称を変えて発表されました。
FINAL FANTASY XIIIにおいて使用されており、また、PS3,Xbox360,Wiiなどマルチプラットフォームに対応しています。

ファミ通.com
●発表された『ファイナルファンタジーXIII』3タイトルを一挙公開!
http://www.famitsu.com/game/event/2006/05/09/264,1147110933,52745,0,0.html

INSIDE
ホワイトエンジンは「止まってません」 スクウェア・エニックス2008年3月期中間決算説明会
http://www.inside-games.jp/article/2007/11/20/25190.html

Game Watch
スクエニ村田琢氏、「ホワイトエンジン」改め「Crystal Tools」を正式発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080225/gdc_cry.htm

Game Watch
スクエニ、「FFXIII」のリアルタイムカットシーンワークフローを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/event/20091217_336540.html






NUライブラリ・NUCCシステム
(バンダイナムコゲームス・サイバーコネクトツー)
http://www.bandainamcogames.co.jp/
http://www.cc2.co.jp/
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ナルト "ナルティメットストーム" ゲーム内容紹介PV


CEDEC2009「プログラマー10名でのPS3タイトル開発」で「ナルティメットストーム」で使用されたNUライブラリとNUCCシステムが発表されています。

「NUライブラリ」はバンダイナムコゲームスのNU開発チームが開発サポートをしているゲーム用ライブラリです。このNUライブラリの上に、さらにサイバーコネクトツーが開発した「NUCCシステム」が構築されています。

サイバーコネクトツーでは、PS2時代にはCSS(Cyber Connect Straming)というシステムがあり、それをベーストしたワークフローが確立されていました。しかし、PS3の開発では大幅コスト増は避けられいと判断した開発チームは、開発コストを抑えながらも自社のワークフローを大きく変えない方法として、バンダイナムコゲームスが開発した「NUライブラリ」の使用を選択します。
そして、二ヶ月に一回程度のミーティングで、NUライブラリの上に構築される「NUCCシステム」に必要な機能や調整を行ったようです。

この「NUCCシステム」の特徴として、高度なアニメーション機能とDCCツール上で作成したものを実機上でそのまま再現するプレビュワー機能が上げられます。特に「アニム」と呼ばれる文字列IDによるアニメーションとモデル検索を融合したシステムは、通常の格闘ゲームエンジンなどでは表現が難しいアニメーションを実現することが可能です。
例えば、ナルトでは「影分身の術」や「口寄せの術」など、1つのアニメーションで複数のモデル呼び出しを行う必要があります。これまでの格闘ゲームシステムでは、1モデル1アニメーションが基本となっていたために、上記のようなアニメ演出的なアニメーションデータを作成する場合、様々な特殊処理を施す必要がありました。これを「アニム」ではデータレベルで扱うことができるため、アーティストだけで複雑なアニメーションを作成可能となりました。

これらのシステム制作の根底にはは、アーティスト主導のゲームデザイン「アーティストドリブン」というコンセプトがあるようです。

なお、CEDECを受講された方でパスワードをお持ちの方であれば、上記講演の資料をCEDEC2009の「マイページ」→「アーカイブ」からダウンロードできます。

CEDEC 2009公式ページ
http://cedec.cesa.or.jp/2009/


ファミ通.com
アニメと見紛う表現! 松山氏が語る『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』のアートワーク
http://www.famitsu.com/game/news/1223109_1124.html

日経Tech-On!
【CEDEC 2009】プログラマーが少ない中で,デザイナー中心の開発プロセスを構築
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090902/174870/








ヘッジホッグエンジン
(SEGA)
http://sonic.sega.jp/SonicWorldAdventure/
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ソニックワールドアドベンチャー エンパイアシティー Day Act 1 TA


セガソニックチームがソニックのために開発したのが「ヘッジホッグエンジン」です。
「リアルタイム・グローバル・イルミネーション」を取り入れ、そのこのGIテクスチャ作成のために、計算用の分散コンピューティングまで開発するなど、意欲的な開発姿勢が伺えます。

ヘッジホッグエンジン
【動画追加】セガブースリポートその2――新作『ソニック』に昼と夜の顔……。新感覚リアルタイムストラテジーにも注目
http://www.famitsu.com/game/news/1216796_1124.html

ゲームを作るための総合環境「ヘッジホッグエンジン」
http://sonic.sega.jp/SonicChannel/creators/027/002.html

西川善司の3Dゲームファンのための「ソニック・ワールド・アドベンチャー」グラフィックス講座
3Dゲームグラフィックスのトレンドはリアルタイム・グローバル・イルミネーションへ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20090410_110682.html

(善)力疾走 3Dゲームファンのための「ソニック・ワールド・アドベンチャー」グラフィックス講座
http://www.z-z-z.jp/BLOG/log/eid299.html

セガの新特許取得ゲームエンジン『Drama Engine』発見記事が掲載中。
http://gamecolumn.blog17.fc2.com/blog-entry-5920.html







Virtua Fighterシリーズ
(SEGA)
http://www2.sega.com/gamesite/vf5/phase2/index.html
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Virtual Fighter 5


海外ゲームでは他社製ゲームエンジンの利用は活発ですが、国内で開発されたゲームエンジンについては、会社を越えて利用されることは、あまり多いとは言えません。またゲームエンジンの歴史を振り返えっても、国内のゲームエンジン開発・利用については紹介された事例はほとんど皆無に思えます。
しかし、実際には国内でも親会社から子会社へのゲームエンジンの提供などは小規模ながらも行われていました。

その中でゲームエンジンの歴史的に注目すべき事例として、セガが展開したSEGA SATURNにおけるゲームエンジン提供があります。当時、マスコミでも紹介されており、また、実際に私はそのゲームエンジンの資料を閲覧できる立場にありましたので、歴史的背景といっしょにご紹介したいと思います。

1994年にセガから発売されたSEGA SATURNは、スーパーファミコンで市場を席巻していた任天堂の牙城を崩すべく、当時の「次世代ゲーム機戦争」に投入された「次世代機」の1つでした。

SEGA SATURN JP US

1ヶ月後に発売されたSONYのプレイステーションと熾烈なシェア争いを展開しますが、約2年後のファイナルファンタジーVIIが発売された頃になるとプレイステーションのシェアは圧倒的となります。

しかしながら、SEGA SATURN発売初期においては、AM2研が開発した「Virtua Fighter」というキラーコンテンツを発売と同時に展開。翌年には、Virtua Fighter 2を投入して健闘していました。
当時、SEGA SATURNのサードパーティには開発キットが配布されていました。コンシューマー機の開発キットとしては、マニュアルも充実しており特に問題のない出来でした。
しかしながら、SEGA SATURNのハードウェア自体は大変「癖」が強いハードでした。マルチCPU、メッシュタイプでしか高速に表示できない半透明テクスチャ、スプライトハードの特性を色濃く残したVDP2。Virtua Fighterのような3Dを高速で処理するゲームを制作するには、アセンブラレベルで2CPUをフルに動かせる高度なプログラマーがいなければ不可能でした。
そのため、SEGA SATURNの初期に発売されたサードパーティのゲームは、1CPUのみで動作するものが多かったと思います。

一方、プレイステーションは、半透明テクスチャがセガサターンよりに高速かつ綺麗に処理できるため、少ないVRAMにも係わらず綺麗なグラフィックを作りやすいハードであったと言えます。

次世代機戦争が過熱し、プレイステーションとのシェア争いが激化したとき、セガはバーチャファイターとセガラリーのゲームエンジンを、サードパーティに提供することを発表しました。
(当時は、「ゲームエンジン」ではなくライブラリかフレームワークと呼んでいた気がします)
当時プログラマーであった私には大変な衝撃でした。大ヒットゲームであり最新の技術を使っているゲームのプログラムが自分達にも使えるというのは、とてつもない武器になると期待したのです。

やがてセガから正式に提供されたこれら2つのゲームエンジンを、先輩達といっしょに次回作のRPGタイトルに使えないか検証するために調査することになりました。
しかし、調査が進むと期待は薄れ、このゲームエンジンの採用を見送ることになります。

その理由とは・・・・・・

まず、このゲームエンジン自体は高速で非常に優秀であることが分かりました。
当時、自社にもRPG用のゲームエンジン(というかフレームワーク)があったのですが、表示速度においては、まったく太刀打ちできませんでした。
しかし、このセガから提供されたゲームエンジンは、アーケード機をベースとした作りになっており、パソコンゲーム・コンシューマーゲームをベースとして作っていた自分達の開発環境とは、相容れにくいという問題が発生しました。
その1つはメモリ管理。当時、自分達の開発チームでは、すでにメモリ管理はオリジナルのメモリマネージャーで行っており、自由にメモリをマネージメントすることが可能でした。
一方、提供されたエンジンのメモリマネージメントは、最初から使用目的やデータに応じて固定されており、自由度が低い状態でした。
これは、RPGのように戦闘やイベント、メニューなどで頻繁にメモリの使用用途を切り替える必要のあるゲームには不向きでした。次に、このゲームエンジン用の3Dデータを作る開発パイプラインもデザイナーに新たに提供する必要がありました。
自社ツールで完結していたデータ制作パイプラインを変えなければ導入できないことが分かり、そのためのプログラマーやデザイナーの作業コストを考えると、提供されたエンジンを使うのは大変リスクが大きいことが分かったのです。

このように提供されたゲームエンジンは、格闘ゲームとレースゲームに特化していたために、そのエンジンを受け入れる側もそれらのゲームジャンルでなければ有効に使えないということ、さらに開発現場の文化やデータ作成のパイプラインなどにも影響を及ぼすということを、このとき勉強しました。

【SS/日本】 SEGA SATURN用開発ツールソフト (1995年頃〜) ≪セガ≫
http://blogs.yahoo.co.jp/rig_veda/49284619.html





VRシステム
(マイクロキャビン)
WIKI JP US

【PC98】 Xak3 (05/16)


私がマイクロキャビンに就職したのは、Xak3の開発終盤の頃でした。
このXak3には、「Xak1」から「幻影都市」まで、マイクロキャビンのアクションRPGを支えてきた「VRシステム」が使われています。私はXak3の開発には係わっていないのですが、その後のプロジェクトでこのVRシステムを調査しており、その優秀さに驚くこととなりました。

「VRシステム」は、パソコンで高速に動作するアクションRPGゲームエンジンです。
特徴としては2Dマップを疑似3Dとして表現および管理可能で、さらに家や木などオブジェクトにキャラが隠れたときに、キャラを透明にして表示することで、どこにいるのか一目で分かるようになっています。そして「操演システム」と呼ばれるイベントシステムによって、当時のパソコンゲームではトップクラスのイベントシーンを実現していました。

このVRシステムは、「グラフィック」「操演システム」「イベントスクリプト」「サウンド」などを統合しており、さらに高機能な「マップエディタ」「操演イベントツール」などの多数のツールによってクオリティの高いゲームを作る開発環境を構築していました。プロ仕様の「RPGツクール」のような環境がすでにこの当時からあったのです。

Xak3開発終了後に、私はとあるRPG開発プロジェクトのプログラマーとして参加しました。このとき、この「VRシステム」を使うかどうかの調査をすることになりました。
しかし、調査を進めるにつれ、いろいろな問題が分かってきました。まず、このゲームエンジンは非常に大きなシステムで、当時新人であった自分が理解するには時間が掛かりすぎることが分かりました。また、一切ドキュメントはなく、プログラムソースから全てを読み解くしか利用する方法がありませんでした。さらに、VRシステムのプログラムをすべて理解しても、今度はデータを作成するためのツールも理解しなければならないことが分かりました。また、自分が担当するRPGにはオーバースペックであることも分かりました。

そこで、描画ライブラリの一部やイベントスクリプトのシステムなど、一部の機能のみを限定して使うことにして、後は自前で制作しました。後に、他のチームがVRシステムを流用して新規RPGゲームを開発するのですが、同様の問題が発生して、スケジュールに少なからずも影響しました。(ただし、このタイトルではVRシステムを使わなければ実現できない仕様があったので、必ずしも間違った選択というわけではありませんでした)
初めてプロとして、ゲーム開発のリソースを「どう使うか」ということを、この2つのプロジェクトで勉強しました。





ゲームエンジンではありませんが、日本のゲームを支えてきた技術の一つ「タスクシステム(ジョブコン・オブジェコン)」について下記の資料が大変参考になりますので、ぜひご覧ください。


DCAJ:デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する研究調査
http://www.dcaj.org/report/2008/data/dc_08_03.pdf

301ページ
4.10 ゲーム開発技術の歴史についてのヒアリング

ナムコ(現在のバンダイナムコ)で「ラリーX」「リブラブル」などの数々の名作を手掛けられたプログラマー黒須一雄さんのインタビューです。





国内ゲームエンジンの情報については、公開できる内容としては今はこれが限界のようです。今後、さらにGDCやCEDECなどで国内ゲームエンジンについて発表されることがあれば、このページでサポートしていきたいと思います。





ゲームエンジン・目次
http://o-planning.sblo.jp/article/33857001.html
posted by 企画屋一号 at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲームエンジン
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